書評「小さな習慣」

スティーヴン・ガイズ (著), 田口 未和 (翻訳)(2017/04/27)

地元の図書館で借りました。人気本でも地方図書館は予約待ちがほとんどなく借りられるのでいいです。蔵書は少ないので、あればの話ですが。

この本、最近読んだ本では一番感銘を受けました。非常に実用的。人間心理をついていると思います。

本書の要点(ぼくが感銘を受けたポイント)

この手の習慣系の本はだいたい

  • 小さなことでいいので
  • 自分のやりたいことを
  • 毎日

続けるということに収れんしているように思われます。
本書の特徴はバカバカしいと思えるぐらい小さな課題にしてとにかく途切れなく毎日やるというところです。

(例)

  • 腕立て伏せを毎日1回やる
  • 文章を毎日50文字書く
  • 本を毎日2ページ読む

小さな課題をクリアすればそれだけでもOKだし、だいたいやり始めれば勢いでもっとやってしまう(もともとやりたいことなので)というところがミソです。

つまり

  • やりたいことであっても、やり始めるのは、それなりに大変。めんどくささが先にたってしまう。
  • しかし、ひとたびやり始めれば、(一定時間)やり続けるのは難しくない。

ということになります。

このことは野口悠紀雄先生の1993年の名著「「超」整理法」でも言及されています。

p.177
始めればできる
(前略)
書く作業でもっとも難しいのは、「始めることだ」。イナーシャ(慣性)が大きいのである。構えてしまう。重要な仕事ほど、構える。「まだアイディアが熟していない」、「いまは身体の調子がよくない」、「雑事を片付けてから」等々のいいわけを自分で作って、着手できない。
しかし、ワードプロセッサの登場は、この事態を大きく変えた。切貼り編集機能を用いると、どこからでも書き始められるので、文章を書き始めるイナーシャが大幅に減ったのである。あとでいくらでも直せるから、気張らずに書くことができる。だから、一行でもよいから、ファイルに書き込んでおく。それが、「取掛かり」になる。取掛かりを作っておきさえすれば、後は、それを修正し、改良することで、徐々に成長する。こうして、仕事に関して「現役になれる」のである。この段階を突破さえすれば、仕事はいつか完成する。

書くこと以外のことでも同じことが言えると思います。
実際、何かを成し遂げるには「小さなことを積み重ねていく」しかないというのは歳とともに実感しています。言い換えれば、細切れの時間(現代人の多くはまとまった時間などとろうと思ってもとれないから)で毎日少しずつ進めていくしかないということです。

自分への応用

ぼくが今(昔からそうなんだけど)一番やりたいことは音楽をつくることなので、朝起きて作業部屋にいって、取り掛かることにしています。時間は5分でもいいことにしている。例えば作った曲のプレイバックだけとか。ただ5分で終わったことは一度もなくて、やりだせば、時間が許す限りもっとやってしまうことがほとんどです。

朝がいいのはよく言われていることですが、曜日とか関係なく毎日やるのには間違いなく適しています。これが夜だと、お酒を飲むことが多いので寝てしまってとても続けられないです。

やり方としては

  • 朝起きてすぐに、歯も磨かずに顔も洗わずに、着替えもせずに、やり始める。(雑念が沸き起こってくる前に取り掛かる)
  • PCは基本的に電源を落とさない。すぐに取り掛かるために。

気持ちとしては自分は朝音楽をするようにプログラミングされた音楽ロボットだと思うようにしています。

その他雑感

いわゆる秀才(学校の勉強がよくできる)といわれる人たちは、小さなことを積み重ねるということの大事さが、子供のころからよくわかっているんだろうなと思います。

人生のほとんど(勉強、会社の仕事、音楽)を一夜漬け方式でやってきたものからすると、最近やっとこのことに気づけたような気がします。裏返せばこれまで、自分の能力に対する(根拠のない)自信があり、地道になんかやらなくてもできると思っていたということでもある。自分には能力がないということを素直に認めることができてきたということでもあります。

イチローと将棋の羽生さんの名言が思い浮かんだ。

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だと思っています。

イチロー

ひらめきやセンスも大切ですが、苦しまないで努力を続けられるということが、何より大事な才能だと思います。

羽生善治

イチローとか羽生さんの実績はだれもが残せるものではないですが、やり方次第で、彼らの気持ちに近づくことはできるのではないかと考えています。

(2018/06/25記)

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