よく、自分の勤める会社のことを、ウチの会社と言ったりするが、在職中、ぼくは言わなかった。言いたくなかった。
自然に「ウチの会社」と言う人が不思議な感じがした。ある組織に取り込まれることに抵抗がないというのか。考えすぎかもしれないが。
で、ぼくは、気心がしれた人と話すときは、自分の勤める会社を、他社のことを言うときのように「〇〇さん」と言っていた。せめてもの抵抗だった。
中根千枝の名著「タテ社会の人間関係」のなかに、日本社会は、血縁関係より、所属する「場」を重視し、そこでウチとソトを分ける、ということが書いてあるが、この「ウチの会社」という言葉は象徴的でないかと思う。
(2019/08/28記)